東京で、本当の意味での美味しいコーヒーと私とおばちゃん》
【絵本作家 永井みさえのエッセイ 】
⭐︎第1回目⭐︎いつもより、伝えたい気持ちがあり、エッセイとして投稿します。
いちを…タイトルは
《東京で、本当の意味での美味しいコーヒーと私とおばちゃん》
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2016年3月13日
帰っていい加減、猫絵本のラフのアイディアを出さなきゃ…と思いながら、
やっぱ降りよう。
私は、東横線の電車から降りた。
本当は、まっすぐ帰る予定が、昔住んでいた最寄り駅で、降りてしまった。
特に用事はない。
ただ、ただ、駅から、家までの道が好きで、降りてしまう。
東京へ来て、4年たたないくらいで、仕事の都合で、東京から引っ越す。
最初は、東京が嫌いだった。
でも、今は、東京も好きになれた。
好きな理由の1つに、あの美味しいコーヒー。
あの、一杯を頂きに、行きたいが故に、わざわざ駅から降りた。
東京から引っ越すことに、迷いも何もない。
あっという間に時は経ち、、、忘れてしまっていることも、忘れてしまった感覚もあるので、ここで記しときたいと思う。
永井みさえ が感じた 3月13日のことを書くとしよう。
東京に来たばかりの頃は、10に1、いいことがあれば、良い方かなと思っていた。
嫌なことばかりだったことを思い出す。
駅から降りると、この駅は、いい香りがする。駅のすぐ隣に、化粧品を扱うお店があるからだ。
この香りが好きで、
わざわざ降りる。理由のひとつ。
この駅周辺には
綺麗なお店が、キラキラしている。
店へ入ると、商品の値段が、私が想像しているより、0が1つ多い。
値段は、高いが、夢のような演出をしている世界に、来れたような気がして気分が良かった。
何も買わずに、ただ、ただ、見るだけ。
今も、あの頃も変わらない感覚。
その先を歩くと、インテリアのデザイナーさんの事務所。
いつか、このデザイナーさんのキッチンで、旦那と一緒に、料理をしたいな。なんて、妄想するのが、好きだった。
今は、結構願望があまりになさすぎている自分に心配する。
東京に来る前は、東京に来たら、何かが変わると思い引っ越してくる人も多い。
私も、その一人だったのかもしれない。
しかし、結果は変わらないことがわかった。変わるのは、周りだ。
アーティストの仲間を話していても、思う。
デビューしても、変わらないものは、変わらない。
人は簡単には変われない。変わるのはいつも周りである。
この言葉の意味がわかるようになったのは、本当に最近。
学生だろうが、作家、芸能人、社長、社員だろが、みんな人の子なんだよなっと
昔の家の帰り道を歩きながら考える。
あ…そういえば、あのおばちゃん元気かな。
私は、ここに住んでいた頃、ほぼ毎日通っていた、近くのコンビニのおばちゃんのことを思い出した。
絵本作家になりたいのに、どうしたらいいか、わからず、、、
絵の仕事っと言い、ただ、会いたかっただけ。。。というような人間もいたり、
私の絵を仕事と見てくれない人もたくさんいた。
そんな毎日が嫌になり、渋谷の会社で働いている友人とばかり、飲んでは、潰れていた。
今思うと、飲んでる暇があれば、絵本描けよ。っと過去の自分に突っ込みたくなるけど、
人が多い東京は、孤独過ぎた。私だけでなく、今、道ですれ違った人も、きっと孤独だろう。
そんな時、家の近所にあったコンビニに行くと、
「おはよーいつもお疲れ様」とコンビニレジの人が、入った瞬間、挨拶をしてくれた。
パーマをかけたおばちゃん。 誰でも、絵にかけるような、定番中の定番な おばちゃんだ。
私は、東京で、赤の他人と挨拶をしたことが、なかったので、びっくりした。
「おはようございます。」私は、遅れて挨拶を返した。
そして、また、次の日
「えっと。。。sサイズのコーヒーで」
「いつも、ありがとうね。あ・・・今日はチョコ持ってきな。」
お店で20円で売られているチョコを取り出し、私は貰った。
そして、また、次の日、コーヒーを頼むと
「今日は10円おまけだよ〜」といい
まけてくれた。
ただのコンビニなのに、どうして❔
でも、毎回来るたびに、おばちゃんの生き生きした笑顔を見ると、
仕事をこんなに楽しそうにしている人、久々に見たことに気づく。
それと同時に、祖父母の顔を思い浮かべる。
そういえば、随分、実家にも帰ってない。この頃、私は、親と仲が悪く、本音で話せず、突っ張ってばかりいた。
どんなに困っていても、親には、何も言えなく、心配させたくなかった。
そんなことを考えながら、コーヒーを家に持ち帰り、絵を描いていると
いつもの、コーヒーなのに、飲んでる時に、しょっぱい味がして、後にも先にも、このコーヒーは、
東京で、一番、あったかいコーヒーだった。
あたり前に、あたたかいコーヒーは心の贅沢な味。
あれから、どれくらい経ったのだろうか。
久々に、あのコンビニに訪れる。外から、定員さんが2人見えた。
1人は、顔見知りだけど、きっと私のことなんて、覚えてないだろうな と思い コンビニに入る。
別に欲しいものなんて…ない。
飲み物でも買うか〜と思って、ペットボトルを選んでいると
「あぁどっかで見たことある顔だと思ったら、久しぶりだね」
男性定員の人が覚えてくれていた。嬉しかった。東京にはたくさん人がいる中で、覚えてくれている人がいるだけで、嬉しかった。
多分、ずっとお店にいるし、あのおばちゃんの息子さんなのかもしれない と思い
「こんにちは、なんか、前に住んでた場所が、懐かしくなって、ぷらぷら歩いて来てしまいました。あの。。。おばちゃん元気ですか❔」
「あ〜奥にいるよ。おーいー」
おばちゃんが出てきた。あの頃と変わらない笑顔で。
「あ〜ら〜、懐かしい顔ね〜。元気してるの❔」
「はい、今度、高知に行くことになりまして、もちろん東京には10日ほど、毎月、仕事で、来るのですが・・・おばちゃん…元気かなと思いまして。」
「はははは、仕事は順調なの❔」
「あ…はい。やっと、カタチになり始めたところなんです。まだまだ…なんですが…」
私は、おばちゃんに絵本を渡し見せる。
「へぇ〜いい絵本じゃない。最近、大人も絵本が好きな人も、増えてるみたいね」
といい、じっくりおばちゃんは、絵本を1ページ、1ページ目を近づけ、見てくれた。
腰の曲がった、その姿を見て
「はい。なんか、ありがとうございます。絵を描いてて、いつも引きこもって、描いている時に、ここのコンビニに来るたびに、挨拶してくださるのが嬉しくて…また来ちゃいました。」
「あらそ〜。でも、また、東京に来るんでしょ」
「はい、もちろんです。今日も、いつものコーヒーを頂いて、帰ろうかと。私は、コーヒーにミルクではなく、豆乳を入れるのが好きで、、、」
「そうね。うちは、ミルク、牛乳、豆乳は、セルフサービスだからね。」
「私が、ほとんど、豆乳使ってしまって、今思えば、なんかも〜申し訳なくって」
「いいのよ〜。」
「でも、こうやって、おばちゃんが元気でよかったです。ありがとうございます。」
おばちゃんは、いつものプリプリなホッペを上にあげ、
「はい。チョコレート。」
いつもの20円チョコレートをくれた。
私は、家に帰り、こうしてパソコンに、今日の出来事を書いている。
頂いたチョコは、すぐ食べずに取って置こうと思う。
どんな仕事でも、笑顔があれば、幸せを届けられる。
ちょっとしたことが、あたたかくて、あのコーヒーは、たとえ、味が変わっても、美味しいだろう。
コンビニのおばちゃんに、教えてもらった仕事と笑顔の魔法とコツ。
コーヒーを飲むたびに、思い出す。。過去の東京にいた愚かだった自分
よし、そろそろ文章の最後にしようと考えていると、母親から電話が、かかってきた。
心配ばかりかけているので、早く、楽をさせてあげたい…のに、まだまだだなと、痛感する。
どこにいっても、これからも、笑顔で私も、がんばらなきゃな。
コンビニのおばちゃんに、学んだ、笑顔のパワー。
コンビニのおばさんの話を、母親にしてみよう。
ちょっとは、安心してくれるかもしれないな。
おしまい
☆☆☆☆☆☆
なんとなく、いつもの投稿ではなく
ココロで思った気持ちを
エッセイにして描きました。
実際に、永井みさえが、体験した出来事です。
あなたのなにかの、人生の参考に
ちょっとでも、なったら、嬉しいです。
永井みさえより
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